[北京/ワシントン 6日 ロイター] – 中国政府は6日、米中通商問題を巡りトランプ米大統領から強い圧力を掛けられたものの、通商協議のために交渉団を米国に派遣する方針を示した。 

トランプ大統領は5日、中国との通商協議の進捗が遅いことをに不満を示し、2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10日から現在の10%から25%に引き上げると表明。さらに、追加関税の対象になっていない3250億ドル相当の中国製品に「近く」25%の関税を発動する考えを示した。 

トランプ氏は6日、米国は中国との貿易で数十億ドルの損失を被っているとして、中国の貿易慣行を改めて批判し、米経済を擁護する姿勢を鮮明にした。 

ツイッターへの投稿で、米国の対中貿易赤字に言及。「申し訳ないが、これ以上こうした状況を続けることはない!」と述べた。 

中国外務省の耿爽報道官は記者会見で「われわれは、関連状況を理解するプロセスにある。ここで言えることは、中国の交渉団が協議のため米国に向かう準備をしているということだ」と述べた。 

ただし、通商協議で中国側の代表となっている劉鶴副首相が、当初の予定通り、訪米するかどうかは明らかにしなかった。協議はワシントンで8日に始まる予定だ。 

耿爽報道官は「極めて重要なのは、米国が中国とともに努力して歩み寄り、相互尊重に基づき互いに恩恵となる、ウィン・ウィンの合意達成を目指すことだ」と述べた。 

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の話として、トランプ大統領のコメントを受けて中国が今週の協議を取りやめることを検討していると報じていた。 

事情に詳しい中国の当局者はロイターの取材に「協議の雰囲気が変わった」と指摘。協議を進めるのかやどのように行うかについて再評価中で、「全ては米国の態度次第だ」と明言した。 

関係筋の1人によると、中国の報道機関はトランプ大統領の投稿を単独で取り上げず、新華社に沿った報道を行うよう指示されたという。 

中国製品への関税は、大半が米国内に本拠を構える輸入業者が支払っており、米企業は関税の拡大でなく撤廃を熱望しているのが実情だ。 

小売業リーダーズ協会(RILA)の広報担当者は「関税引き上げは数百万の米世帯に増税を行うことになり、米農家に対する追加報復措置を招く」と警告した。 

トランプ大統領の姿勢には党派を超えた支持も集まっている。民主党重鎮のシューマー上院院内総務はツイッターに「姿勢を後退させてはならない。強さだけが中国に打ち勝つ唯一の道だ」と述べた。