【ブリュッセル時事】23~26日に実施された欧州議会選挙では、投票率(暫定)が50.95%となり、過去最低だった5年前の前回(42.61%)を上回った。1979年の直接選挙導入以来、初めての上昇で25年ぶりに5割を超えた。親EU勢力とEU懐疑派の対決構図となり、市民の関心が高まったとみられる。選挙結果は親EU全体では多数派を維持する見込みとなり、懐疑派は伸長したものの、限定的となった。
27日未明時点の開票集計では、定数751のうち親EUの主流である第1会派の中道右派「欧州人民党(EPP)」が179(現有216)、第2会派の中道左派「欧州社会・進歩連盟(S&D)」は150(同185)と大幅減となった。
ただ、EUの統合深化を掲げるフランスのマクロン大統領の与党「共和国前進」やリベラル会派「欧州自由民主連盟(ALDE)」の連合は107(同69)、環境系の「緑の党・欧州自由連盟」は70(同52)と躍進。これら親EU会派合計では506と全議席の約67%を占め、現有522からの減少は小幅となった。
EU懐疑派では、イタリアの極右「同盟」が国内で33.6%、フランスの「国民連合」が23.5%の票を獲得しそれぞれ第1党となったほか、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」も得票率を伸ばした。しかし、汚職スキャンダルが発覚したオーストリアの極右・自由党は議席を一つ減らしたほか、オランダのウィルダース党首率いる自由党は現有4議席を全て失うなど、懐疑派内でも明暗が分かれた。