馬鋼集団が中国宝武鋼鉄集団の傘下入りすることになった。写真は馬鋼集団の子会社馬鞍山鋼鉄の工場(ロイター)
鉄鋼世界2位で中国首位の国有企業、中国宝武鋼鉄集団が、同じく国有企業で中国9位の馬鋼集団を子会社化することが2日、明らかになった。2社を合わせた鉄鋼生産量は世界首位の欧州企業アルセロール・ミッタルに迫り、巨大鉄鋼会社が誕生することになる。
馬鋼の上場子会社の馬鞍山鋼鉄が2日出した公告によると、馬鋼を所有する安徽省国有資産監督管理委員会(国資委)が、保有株の51%を宝武鋼に無償譲渡する。
中国の鉄鋼専門紙によると、宝武鋼の2018年の生産量は6742万トン、馬鋼の生産量は1964万トンで、計8706万トン。世界首位のアルセロール・ミッタル(9250万トン)に迫る規模になる。
馬鞍山鋼が出した報告書によると、再編の狙いとして「宝武鋼を世界の鉄鋼業のリーダーとする遠大なビジョン」を掲げる一方、国際的に問題となった鉄鋼の過剰生産を減らすことも挙げている。
今月に日本で開かれる主要20カ国・地域(G20)サミット関連の会議では、鉄鋼の過剰生産問題も取り上げられる見通し。中国政府は、国有大手のさらなる合併という過剰生産対策を打ってから議論に臨み、各国の標的になるのを避ける狙いもあるとみられる。
中国の国有企業を管理する国有資産監督管理委員会は、鉄鋼の過剰生産を減らして効率化するため、国有鉄鋼大手の再編を進めてきた。16年には宝鋼集団と武鋼鋼鉄の統合を発表し、世界2位の宝武鋼が誕生した。
国資委の彭華崗報道官は4月の記者会見で「宝鋼と武鋼が合併後、鉄鋼の過剰生産は1500万トン以上減り、韓国ポスコや新日鉄住金(現・日本製鉄)と競争できる実力を備えた」と再編の成果を強調していた。(北京=福田直之)