[ロンドン/ワシントン 4日 ロイター] – トランプ米大統領は4日、中米から大量の不法移民がメキシコ経由で米国に流入している現状を踏まえ、予定通り来週からすべてのメキシコ製品に関税を課すことになるとの考えを明らかにした。 

この問題を巡って米、メキシコ両国は3日から協議を開始。エブラルド外相はこれまでの協議を「生産的」とし、「共通の認識が得られるだろう」と期待感を示した。 

しかし、トランプ氏は訪問先の英国で記者団に、不法移民の入国は「侵略」と非難。「われわれに何ができるか見極めるつもりだが、おそらく関税をかけることになるだろう」とした上で「こうした移民によるわが国への襲来と侵略を、メキシコはもっと力を入れて阻止せねばならない」と訴えた。 

トランプ氏は先月末、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明した。 

メキシコのロペスオブラドール大統領はトランプ氏の発言を受け、米国との協議は順調に進んでおり、関税と移民の問題で双方が10日までに合意できるとし、楽観的な姿勢を崩さなかった。 

対メキシコ関税を巡って与党・共和党内で反対の動きが出ていることについて、トランプ氏は「愚かな行動だ」と批判。「議会共和党が阻止するとは思っていない。阻止すれば愚かなことだ」と語った。もっとも共和党内での支持は「さほどない」(マコネル上院院内総務)との声もある。マッカーシー下院院内総務はこの日、関税導入の回避に向けた解決策を見いだす考えを明らかにした。 

メキシコのエブラルド外相は3日、米国がメキシコを「安全な第三国」に指定し、米国への難民申請者を移送してメキシコで保護するという案を米国側が提示しても拒否する考えを示した。メキシコを「安全な第三国」に指定すれば、理論的には米国で難民申請を行う中米からの移民はほぼゼロになる可能性がある。メキシコはこの選択肢を排除した場合、トランプ米大統領が計画する5%の関税発動を回避する交渉カードは限られそうだ。