[ドバイ/ワシントン 17日 ロイター] – イランは17日、2015年の核合意で定められた低濃縮ウランの国内貯蔵があと10日で制限量を超過する見通しと宣言した。実際に制限量を上回れば核合意違反と見なされ、米国などはイランが「核を使って脅迫している」として反発を強めている。 

イラン原子力庁のベヘルーズ・カマルバンディ報道官は国営テレビで「われわれは濃縮率を4倍にし、このところそれをさらに引き上げており、10日後には300キロの上限を超過するだろう」と表明。同時に「欧州各国が行動すれば、まだ時間はある」として欧州各国に行動を促した。 

これに対し、米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は、イラン側の姿勢は「核を使った脅し」だと非難。「イラン核合意で(ウラン濃縮)能力が温存されたため、濃縮が可能になっている」とした上で「トランプ大統領はイランによる核兵器開発は容認しないとこれまでも明確に示している。イランのこうした脅しに対し、国際社会は圧力を強める必要がある」と訴えた。 

またイスラエルのネタニヤフ首相も米国の声に同調。イランが核合意に違反するなら、国際社会は対イラン制裁の「スナップバック(復活)」を直ちに実行する必要があると表明した。さらに「イランが核兵器を手に入れることをイスラエルは認めない」とし、先制的な軍事行動に出る可能性も示唆した。 

こうした中、モゲリーニ欧州連合(EU)外交安全保障上級代表は「われわれは種々の声明ではなく国際原子力機関(IAEA)の報告に基づき対応する。これまでイランは核合意を順守しており、今後もそうあるよう願っている」と述べ、IAEAの判断を見極める考えを強調した。英国は違反が確認されれば「すべての選択肢」を検討するとした。