[ソウル 21日 ロイター] – 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と中国の習近平国家主席は、「深刻で複雑な」国際情勢の中、中朝関係を発展させることが両国や地域の平和に寄与するとの認識で一致した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が21日に伝えた。
報道によると、両首脳は緊密な戦略的対話を行い、さまざまな分野で協力を深めることで合意した。 また、金委員長は習主席の訪朝について、中朝の不変の友情を世界に示す重要な機会だと述べたという。
中国の新華社通信によると、習主席は、朝鮮半島の核問題の政治的解決は「逆らえない潮流」で、非核化協議を堅持すべきとの認識で両首脳が一致したと語った。 習主席は21日、2日間の訪問日程を終え、平壌を後にした。
新華社によると、習主席は熱烈な歓迎を受けたとして金委員長に謝意を表明。国際情勢がどのように変化しても、中国は朝鮮半島問題の政治的解決と永続的な安定の実現を目指す北朝鮮の努力を断固として支持すると述べた。
習主席は20日に北朝鮮に到着。北朝鮮国営メディアは平壌の空港で満面の笑みを浮かべた金委員長と習主席の姿を映像や写真で報じた。両首脳はオープンカーに乗って空港から移動し、同日夜に平壌のメーデースタジアムでマスゲーム公演を観覧した。
KCNAによると、公演のタイトルは「無敵の社会主義」で、習氏の訪朝のために特別に準備された。「共産党なしに新しい中国はない」、「中国、あなたを愛している」といった歌が含まれたという。
KCNAが報じたマスゲーム・芸術公演の写真によると、数千人の人々が持つプラカードで習氏の顔と中国の国旗を描き出す演出もあった。
朝鮮労働党機関紙、労働新聞は21日に紙面を拡大した特別号を発行。全10ページ中8ページで習氏の訪朝を取り上げ、記事や写真を掲載した。
20日に行われた金委員長との公式会談で習氏は、北朝鮮の非核化に向けた取り組みを前向きに評価する姿勢を示し、北朝鮮が米国と対話を行い、対話が成功することを世界は望んでいると述べた。
KCNAによると、20日に開かれた晩さん会で習主席は、金委員長が朝鮮半島問題の政治的解決を志向し、「新たな戦略手段」で自国の発展に非常に好ましい環境づくりを目指すことを強く支持すると表明。
中国首脳の訪朝は14年ぶりで、習氏にとっては国家主席就任後、初めて。習主席はトランプ米大統領と今月末に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて会談する予定で、訪朝はその直前に実現した。