世界へ「OSAKA」アピールを-。28日開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、大阪・関西の魅力を海外に発信する絶好の機会になった。会場は関西のものづくりや健康・医療産業の実績、伝統文化や食などをPRする場にもなり、夜には各国首脳らを招待した晩餐会が開かれ、「食い倒れ」の街・大阪の威信をかけた料理が振る舞われた。関係者は今回のサミットの成果を2025年大阪・関西万博への弾みにしたい考えだ。
「きょうの料理は持続可能性と美食を融合した『里山』がコンセプトです。楽しんでください、乾杯!」
28日夜、大阪迎賓館(大阪市中央区)で華やかに行われた晩餐会。安倍晋三首相は日本酒が注がれた杯を手に初日の会談を終えた首脳らに笑顔を向けた。
日本で過去最大のサミットが開幕したこの日、経済や貿易に関する首脳会合や特別イベントなどが矢継ぎ早に行われ、安倍首相は議長として首脳同士の議論やコミュニケーションをリード。晩餐会のあいさつでは、大阪が商人の街として発展した歴史や大阪城を市民がシンボルとして親しんでいることを紹介した。
晩餐会は日中に行われる会議や会談と並ぶ重要な外交舞台であり、ホスト国が地元の食材や文化でゲストをもてなす見せ場でもある。今回の開催にあたり、関西の自治体や経済界でつくる推進協議会はメニューを考案する外務省に、関西を中心とした2府6県合わせて千点を超える食材や酒の推薦リストを提出し、地元産品の活用を要望した。
晩餐会後、大阪府の吉村洋文知事は「大阪・関西の素晴らしい食や文化、技術を多くの首脳に肌で感じていただいた」と手応えを話した。
また、晩餐会に先立ち、各国首脳らはライトアップされた大阪城を背景に集合写真を撮影。狂言師の野村萬斎さんによる狂言や世界的ピアニストの辻井伸行さんの演奏などを鑑賞し、日本が誇る伝統文化や芸術を楽しむ場面もあり、盛んに拍手を送っていた。