30日、板門店の南北軍事境界線の韓国側で話すトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(AFP時事)

 【ソウル時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は30日、南北軍事境界線にある板門店でトランプ米大統領と向き合いながら「びっくりした」と、前日のツイッターを見た感想を語った。3回目の米朝首脳会談が慌ただしく実現したことをうかがわせた。

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 「この場所で会えるとは思ってもいなかった」。正恩氏は対面時、軍事境界線上でトランプ氏と握手し、笑顔を見せながら語り掛けた。トランプ氏が「越えてほしいか」と問うと、正恩氏は右手を出して招き入れた。史上初めて現職米大統領が境界線を越えた瞬間だった。

 板門店は朝鮮戦争の休戦協定が調印された地で、1976年には北朝鮮兵が米兵をおので惨殺するポプラ事件も起こった。正恩氏は「私たちの素晴らしい関係がなければ、本日の会談は無理だった」「この会談を、世界の期待を上回るニュースにつなげていきたい」と上機嫌で会談に臨んだ。

 突然呼び出されたような不快感も、物別れに終わった2月の会談の痛手も見せず「この会談を実現させてくれたトランプ大統領に感謝したい」と述べ、笑顔で握手した。

 20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の開催中から、この会談を予告して世界の耳目を自分に集めたトランプ氏も「素晴らしい気分だ」と満足の表情。「世界にとって素晴らしい日だ。世界中がこれを見ている」と自ら会談の意義を解説した。