トランプ大統領がまたまた暴言を吐いた。ロイターによると、トランプ米大統領が週末に移民系女性議員に「国に帰ったらどうか」などと投稿したことを巡り民主党から人種差別だと批判が出ている。当のトランプ氏は15日、反省することもなく攻撃を一段と強めた。2020年に大統領選挙を控え国の分断につながる可能性のあるこうした発言に対し、共和党幹部は今のところ主だった反応は示していない。いま選挙をやるとトランプ大統領は民主党のジョー・バイデン、バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレンの少なくとも3候補に敗れる見通しだそうだ。これに度重なる人種差別発言が加わる。同氏の再選戦略はピントが外れているような気がしてならない。
大統領の差別発言は、「進歩的な民主党の女性議員」に対して行われたもの。「完全に破滅して犯罪がまん延する元いた国に帰り、建て直しを手伝ったらどうか。その後(米国に)戻り、どのように建て直したか見せてほしい」とツイートした。名前は挙げなかったものの、対象とされたのはアレクサンドリア・オカシオコルテス議員、イルハン・オマル議員、アヤナ・プレスリー議員、ラシダ・トレイブ議員の4人の女性議員を指したとみられるとロイターは伝えている。4人はトランプ氏のほか下院民主党主導部やバイデン氏も激しく批判する。民主党の中はこの人たちの行動や発言を快く思わない人たちがいるようだ。オカシオコルテス議員はMMT(現代貨幣理論)に賛意を示し、ニューディール政策を主導する目下売り出し中の下院議員だ。
トランプ氏の非人道的政策や差別発言にいまさら食ってかかろうと言う気もないが、こうした発言が大統領選挙を意識したものだとすれば、再選の道はかなり険しいのではと思わざるを得ない。自分の支持者を意識した強行発言は確かに支持基盤を強固にする。だが、仮にバイデン候補と戦うとなった時に、現在の支持率の劣勢をどうやって挽回するのか。常識的に考えればバイデン支持者を自分の味方につけるのが一番手っ取り早い。バイデン氏は民主党の中でも共和党に近い中道派だ。民主党右派を取り込む政策や発言をした方が得策ではないのか。そう考えて初めて気が付いた。オカシオ議員以下4人は、民主党左派の急進派である。大統領の差別発言は民主党右派を取り込むための作戦なのかもしれない。トランプ氏のさりげない発言は、誰も気がつかないが緻密に計算されている可能性がある。
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