会見開始から3時間が過ぎて休憩が入り、いったん退席する吉本興業の岡本昭彦社長(手前)=2019年7月22日午後5時9分、東京都新宿区、越田省吾撮影
吉本興業の一連の対応は、企業の危機管理の専門家の目にはどのようにうつったのか。エイレックスの江良俊郎社長に聞いた。
問題発覚後の初動に大きな問題があった。本人が金銭授受を否定しているというだけで、状況証拠としては可能性はあったのに、それでよしとしてしまった。その後も会見を開く機会はあったが、事実関係が確定できないとして、後手に回った。本来は発覚した段階で、第三者による徹底的な調査に速やかにゆだねればよかった。そして調査結果を報告書にまとめ、責任を明確にしたうえで、処分と再発防止策を公表する、これが基本だ。当初からこうした方針で対応していれば、ここまで騒ぎが大きくなることはなかった。
会見でも何を伝えたかったのか。社長自身、何が問題だったかの認識が明確でなかったのではないか。処分の撤回理由についてのきちんとした説明はなく、場当たり的にうつったのではないか。長時間の会見だったが、かえって企業イメージを損ない、傷口を広げてしまった印象だ。(聞き手・立松真文)