- 20年ぶりの市中銀行公的管理から2カ月、信頼感まだ回復せず
- 発端は包商銀の公的管理、一部債権者に損失でリスク評価見直し
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中国が約20年ぶりに銀行を公的管理下に置き投資家に衝撃が広がってから約2カ月を経ても、本土の小規模銀行に対する市場の信頼感はまだ完全に回復していない。銀行システムに対する信頼感回復こそ、中国が必要としているものだろう。
中国当局は内モンゴル自治区を本拠とする包商銀行を5月24日に公的管理下に置き、一部債権者に損失を負わせた。これにより失われたのが、市中銀行には当局が常に100%の支援を提供するとの長年の暗黙の了解だった。
その結果、本土市場では最大手クラスの銀行を除く市中銀行に対し、大規模なリスク評価見直しが進行している。モラルハザード(倫理観の欠如)がはびこる中国で、もっと早期にこうした展開があるべきだったとアナリストらはみている。
現在の混乱は一部の小規模銀行の脆弱(ぜいじゃく)性を裏付け、景気には短期的な逆風となるが、経営基盤の強い銀行と弱い銀行の区別を市場に強いることで、最終的には40兆ドル(約4320兆円)規模に上る中国の銀行システムをより持続可能な軌道に乗せる可能性がある。

包商銀の問題を2017年の時点で指摘していたUBSグループのアナリスト、 ジェーソン・ベッドフォード氏(香港在勤)は「実際のところ、長期的な意味合いは非常にポジティブだ」と話している。
モルガン・スタンレーのクレジットストラテジスト、ケルビン・パン氏(香港在勤)は先月のリポートで、「社債市場は今、小規模銀行の全債務に対して期待する暗黙の政府保証の確率を小さくしつつある」と分析した上で、「(小規模行を含めた)銀行に対する支援は強いままだとわれわれは引き続き考えているが、政府は差別化したアプローチを活用している」と記した。
中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)にファクスでコメントを求めたが返答はなかった。
当局が現在のような状況を望んでいたかどうかを判断するのは難しい。事情に詳しい関係者は5月、包商銀の財務状態が想定より不安定であるとの認識に至る前に、当局は同行の株式を国有企業に取得させる準備をいったんは進めていたと明らかにした。
原題:China’s $40 Trillion Banking System Learns a Hard Lesson on Risk (抜粋)
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