[ニューヨーク 23日 ロイター] – 米国株式市場はほぼ全面安の展開となり、ダウ平均株価は623ドル値下がりしたほか、ハイテク株の多いナスダック総合指数も3%安で取引を終了した。中国が米国製品に対する追加報復関税を発表し、トランプ大統領も米企業に中国からの撤退を要求するなど、米中貿易摩擦が一段と激しさを増したことを嫌気し、売り注文が相次いだ。
中国商務省は同日、米国から輸入する750億ドル相当の製品に対し5─10%の追加関税を課すと発表。米国が9月1日から発動を予定する対中制裁関税「第4弾」に対する報復措置とみられる。これに対しトランプ氏はツイッターで「偉大な米企業に対し、中国の代替先を即時に模索するよう命じる。事業を米国に戻し、米国内で生産することも含まれる」「われわれに中国は必要ない。率直に言えば、中国がいない方が状況はましだろう」などと投稿した。
ハイテクや半導体関連など中国との取引が大きい銘柄が売り込まれた。半導体大手インテルは3.9%安。アップルは4.6%安。フィラデルフィア半導体
株指数(SOX指数)は4.4%安。
こうした中、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は注目されたワイオミング州ジャクソンホールでの講演で、FRBが足元の景気拡大を維持すべく「適切に対応」すると表明。ただ今後どれほど速いペースで利下げを行うのか手掛かりを示さなかったため 、FRBに対し繰り返し利下げ圧力を掛けているトランプ氏は痛烈にパウエル議長を批判した。
メイトリックス・アセットアドバイザーズ(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、デービッド・カッツ氏は、トランプ氏は誰にでも怒っているようだとした上で「彼は中国に怒っており、市場動向や経済の責任はパウエル(FRB議長)に負わせようとしている」と述べた。
週間では各指数とも4週連続で値下がり。S&P総合500種指数は過去1カ月間で5.8%下げた。
PC大手のHPインクは22日、ディオン・ワイズラー最高経営責任者(C
EO、52)が11月1日付で辞任すると発表した。株価はこの日5.9%安。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を4.52対1の比率で上回った。ナスダックは5.27対1で値下がり銘柄数が多かった。米取引所の合算出来高は80億7000万株。直近20営業日の平均は75万8000万株。