[リヤド/ドバイ/ロンドン 14日 ロイター] – サウジアラビア東部にある国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日攻撃された。これによりサウジの石油生産能力の半分以上が影響を受けるという。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、無人機(ドローン)で攻撃したとの犯行声明を出した。原油価格が上昇し中東の緊張感が一段と高まる可能性がある。
アラムコは、サウジの石油生産が日量570万バレル減少するとの見方を示した。これは世界の石油供給の5%超に相当する規模。
今回の攻撃を巡ってはフーシ派が犯行声明を出したものの、ポンペオ米国務長官はイランを非難。「攻撃がイエメンからのものであることを示す証拠はない。緊張緩和を求めるあらゆる呼び掛けにもかかわらず、イランは世界のエネルギー供給への前例のない攻撃を行った」とツイッターに投稿した。
国営サウジ通信社(SPA)によると、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はトランプ米大統領と電話で会談し、サウジには「このテロ攻撃に立ち向かい、対処する意思と能力がある」と説明したという。
米国は攻撃を非難。ホワイトハウスによると、トランプ大統領はサウジ皇太子に対して、サウジの安全確保のため協力する用意があると伝えた。米エネルギー省は、必要に応じて戦略石油備蓄を放出する用意があるとした。ペリー米エネルギー長官は、世界的な行動が必要になった場合には、国際エネルギー機関(IEA)と協力する意向を表明した。
ドローンによる攻撃を受けたのはサウジ東部のアブカイク、クライスにあるアラムコの施設2カ所。アラムコのナセル最高経営責任者(CEO)は、攻撃による死傷者はいないとし、事態を掌握していると説明した。ロイターの目撃情報では、アブカイクの施設は夜までに鎮火した。
サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、アラムコは当面は在庫を活用して供給を続けると語った。アラムコは現在、世界最大規模となる見通しの新規株式公開(IPO)を計画しているところだった。