[ロンドン 24日 ロイター] – 英国の最高裁判所は24日、ジョンソン首相が10月末の欧州連合(EU)離脱期日直前まで議会を閉鎖した措置を巡る訴訟で、首相の措置は違法との判決を下した。裁判官11人が全会一致で判断した。これにより、下院は25日午前11時半(日本時間午後7時半)に再開する運びとなった。
一方、ジョンソン首相はどのような状況になろうと10月31日にEUを離脱すると改めて主張した。議会再開に伴い、合意なき離脱に反対する議員らが強硬離脱に向けた首相の動きを封じ込める余地が広がる。一部議員からは、ジョンソン首相の辞任を求める声も上がった。
最高裁のヘイル裁判長は「女王に議会閉会を進言するという決定は、憲法が定めた機能を議会が果たす能力を阻止するもので違法」と述べた。
国連総会出席のためニューヨークを訪問中のジョンソン首相は、判決を尊重するとしながらも全く同意できないと表明。英国は10月末に離脱すると念を押した上で「良い合意を得ることが目下の課題だ」と述べた。先般のEU離脱延期法案成立により、10月19日までに離脱協定で合意できない場合、首相はEUに3カ月の離脱延期を要請せざるを得ないが、これに関する質問には応じず、10月末の離脱は法律的な規定路線だと強調した。辞任については「全くない」とし、議会の再閉鎖についても含みを残した。
バーコウ下院議長は「最高裁の違法判決を歓迎する」と表明。「議会制民主主義を実現するため、下院は遅滞なく招集されなければならない」と述べた。その上で「下院が25日午前11時半に開会できることを確実にするため必要な措置を講じるよう命じた」ことを明らかにした。
7月に就任したジョンソン首相は、新たな政策アジェンダの策定に向けて議会休会が必要と主張し、エリザベス女王から議会を9月10日から10月14日まで閉会とする承認を得た。
一部議員は、ジョンソン首相が女王を誤った方向に導いたと批判し、首相を辞任すべきと主張。最大野党・労働党のコービン党首は、ジョンソン首相は辞任すべきとしたが、不信任を要求するかどうかは明言しなかった。
英ポンドは最高裁の判断を受けドルやユーロに対して上昇。対ドルGBP= GBP=D3では足元0.5%高の1.2493ドル付近で推移している。