- 米国に集めたスタートアップ企業トップに早期黒字化の必要性説く
- 創業者優遇の多議決権など、上場株の投資家は許容せず-孫氏
スタートアップ起業家に多額の赤字を出しても夢の実現を追求するよう後押しする人物として知られたソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が先週、起業家に対して従来と異なるメッセージを送った。夢を追っても「黒字は出していた方がいい」。
孫氏は五つ星ホテルの米ランガムに集まった企業トップらに早期黒字化の必要性を指摘するとともに、良いガバナンス(企業統治)の重要性を説いた。イベント出席者の1人が明らかにした。他の株主よりも創業者を優遇する多議決権や複雑な株式構造などの仕掛けを上場株の投資家は許さないと孫氏は論じ、株式公開を検討する数年前の時点で体制を整えるべきだと述べた。
シェアオフィス事業を手掛けるウィーワーク創業者アダム・ニューマン氏の退任をソフトバンクGが主導したわずか数日後に、こうした趣旨のメッセージが明らかになった。ウィーワーク親会社ウィー・カンパニーが目指していた9月上場計画は、特徴ある創業者が経営権を握る赤字続きの同社にプレミアムを支払うことに投資家が二の足を踏み、暗礁に乗り上げた。
今回の退任劇で勝者を当てるという孫氏の評判に傷が付くことになったが、と同時に孫氏には、出資先企業に対して一般投資家が上場企業に求める一種の規律を迫る覚悟を持つ一人の投資家としての側面があることも示した。
ソフトバンクGの広報担当者は今回の非公開イベントに関してコメントを控えた。
原題:SoftBank Gives ‘Very Public Lesson’ to Founders in WeWork Ouster(抜粋)