[香港 1日 ロイター] – 中国建国70周年に当たる1日、香港で展開された反政府デモとの衝突で警察が実弾を発砲し、デモ参加者が負傷した。約4カ月にわたる抗議運動で、実弾による負傷者が出たのは初めて。
警察によると、18歳の男性が新界地区荃湾付近で肩を撃たれたという。これまではゴム弾などが使用されていたほか、空に向かって威嚇射撃が行われることはあった。
警察は声明で「九龍、香港島、新界地区で暴動が起きている」と説明。「大規模なデモ隊が荃湾で警官を攻撃した」とし、「警官は警告したが攻撃が続いたため、警官らの命を守るために発砲した」とした。
また、ステファン・ロー警察長官は、警官が3カ所で実弾を発射したが、合法で適切な行動だったと指摘。記者団に「警官の生命が深刻な脅威にさらされ、このため実弾を使用した」と述べ、負傷者は病院に搬送され、意識はあると話した。
現場の様子を撮影した映像によると、鉄パイプを手にしたデモ隊が機動隊と衝突し、その後、警官が至近距離から発砲した。
ラーブ英外相は、デモ隊への実弾使用を非難し、「暴力は正当化できないが、実弾使用は不釣り合いで、状況悪化のリスクが増すだけだ」と述べた。
この日、数千人が香港各地で警察の許可なくデモを展開し、警察と衝突。デモ隊は火炎瓶を放ち、警察は催涙弾や放水車で対応する事態に発展した。衝突では少なくとも31人が負傷し、2人が重体という。
市内中心部ではバリケードが張られ、多くの店舗が休業、機動隊が多数配備されたほか、地下鉄を運営する香港鉄路(MTR)は一部の駅を封鎖した。