[ロンドン 4日 ロイター] – ジョンソン英首相が欧州連合(EU)離脱協定案を巡り19日までに合意できなければ、月末に迫る離脱期限の延期をEU側に要請する意向であることが、政府がスコットランド上級裁判所に提出した文書で明らかになった。
英国では先月、EU離脱延期法が成立。EUとの離脱合意案が10月19日までに議会で承認されず、合意なき離脱も認められなかった場合、ジョンソン首相に対し3カ月の離脱延期をEUに求めることを義務付ける内容となっている。
しかし、ジョンソン首相は10月のEU首脳会議で合意を目指すとしつつも、離脱延期は求めないと強調し、強硬姿勢を崩していない。このため、合意なき離脱に反対する議員らは首相にEU離脱延期法を順守させるよう、スコットランド上級裁に対応を求めていた。
同法の順守義務付けに加え、議員らはジョンソン首相が同法を順守しなかった場合、スコットランド上級裁の権限を通じ、首相に代わり離脱期限の延長をEU側に求めることを要請。同権限はイングランド地域の裁判所には認められていない。さらに、首相に対する罰金や禁錮刑の可能性についても裁判所の判断を求めた。
政府は裁判所への文書で、首相が離脱延期法を順守する構えで、延期が認められれば、その方針にも従う意向と強調した。
ジョンソン首相は今週、離脱協提案の代替策をEU側に提示。月末までにEUと合意にこぎ着けることに期待を寄せるが、EUとアイルランドの当局者は妥結につながる可能性は低いとの見解を示している。