[香港 4日 ロイター] – デモ参加者がマスクなどで顔を覆うことを禁じる「覆面禁止法」が制定された香港で4日、抗議活動が一段と激化し、警官隊との衝突で14歳の少年が撃たれ重体となった。
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日、緊急時に行政長官が公共の利益のために必要な規制を制定できる「緊急状況規則条例(緊急条例)」を適用し、デモ参加者がマスクなどで顔全体を覆うことを禁止する「覆面禁止法」を5日から導入すると表明。緊急条例が適用されるのは、香港返還後、初めてとなる。
緊急条例の下では、夜間外出禁止令の発令のほか、メディアの検閲、港湾や輸送の管理なども可能になる。ただラム長官はマスク着用禁止以外の措置は打ち出さなかった。
ただ、覆面禁止法の制定で抗議活動は激化。随所で中国の国旗が燃やされるなどする中、香港島の繁華街にあるショッピングセンターや銀行などはこの日は早めに閉店した。
警察によると、新界地区の元朗でデモ参加者が警官に向け火炎瓶を投げつけたため、警官は防衛のために銃撃した。地元メディアは14歳の少年が撃たれたと報道。病院によると、この少年は重体だという。
香港島の繁華街、銅鑼湾(コーズウェイベイ)では中国銀行(香港)がデモ隊に包囲されたほか、対岸の九龍地区では中国の保険会社の支店のガラスが割られるなどした。
中国政府で香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室は声明で、抗議活動は「カラー革命」に発展しつつあるとして、ラム長官が取った措置に支持を表明。抗議活動の激化で観光業や小売業が打撃を受ける中、一部の香港企業もラム長官の措置を支持しており、「暴力行為の収束には断固とした措置が必要だ」との声も聞かれた。