[ロンドン 24日 ロイター] – ジョンソン英首相は24日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る混迷打開に向け、12月12日の総選挙実施を提案した。ただ首相に議会解散権はなく、野党の同意が必要となるため、総選挙が実現するかどうかは不透明だ。 

首相は声明で「離脱方法は議会が納得できるものでなければならない。もし議会が本心からもっと時間をかけてこの優れた離脱協定案を検討したいのであれば、そうしてもよい。ただし、12月12日に総選挙を実施する必要がある」と述べた。 

最大野党・労働党は「合意なき」離脱のリスクが排除されれば、総選挙実施を支持する可能性があると表明。コービン党首は25日予定されるEU側の離脱延長期間を巡る決定を待ち、総選挙を支持するかどうか決めると述べた。 

他の野党は総選挙実施に反対を唱えている。 

ジョンソン政権は総選挙が混迷打開に向けた唯一の策と見なしているが、ジョンソン首相就任以降、議会は前倒し総選挙の提案を2回否決している。 

ジョンソン首相はコービン労働党・党首宛ての書簡で「このまひ状態を2020年まで長引かせれば、企業や雇用、民主主義制度に対する信頼感に重大な影響が及ぶだろう。すでに議会の行動によって、国民投票以降ひどく傷つけられている。議会は英国を人質に取り続けることはできない」と言明した。 

同首相はまた、EU側が来年1月31日までの離脱延期を提案してきた場合、自身として11月6日までの離脱協定案批准に向け、関連法案の成立を目指す考えを示した。 

その上で、議員らが11月までの批准を目指せば、「12月12日の総選挙前にEU離脱を実現できる」とも述べた。 

こうした中、リースモグ下院院内総務は議会に対し「早期の総選挙実施に関する動議については、28日に審議と投票の機会が与えられる」と明言した。 

EUは25日に会合を開き、EU離脱期限を来年1月末まで延期する英政府の要請を受け入れるよう求めたトゥスク大統領の提言を承認するか決める。EU高官や外交筋らによると、EUは英国の要請通り3カ月の延期を容認する方向で、英国の用意が整えば期日前の離脱を認める決定が最も可能性の高いシナリオとなっている。しかし、関係筋によると、フランスは英議会に採決の時間を与えるために数日の延長は容認する構えとしつつも、それ以上の延長には反対を唱えている。