10月の米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回った。前月の増加幅も大きく上方修正された。米金融当局は利下げの休止を示唆したが、今回の統計はその正当性を示す格好となった。低調な設備投資や貿易を巡る緊張にもかかわらず、個人消費のけん引で過去最長の景気拡大がなおも継続する可能性が示された。

キーポイント
・10月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は12万8000人増-市場予想(8万5000人増)を上回る
 ・前月は18万人増(速報値13万6000人増)に上方修正10月はゼネラル・モーターズ(GM)でのストライキに伴う4万1600人減と、国勢調査に関連した臨時職員の雇用終了に伴う2万人減が含まれる
・家計調査に基づく10月の失業率は3.6%と、前月(3.5%)から上昇平均
 ・時給は前年同月比3%増-伸びは市場予想と一致
・前月比では0.2%増、市場予想をやや下回る-ストが影響した可能性もある
U.S. economy added 128,000 workers in October as jobless rate rose

エコノミストの見方

  • ビザUSAの主任米国エコノミスト、マイケル・ブラウン氏:
    • 「全般的に労働市場は非常にしっかり持ちこたえている」
    • 「個人消費が勢いを失いつつある兆候は見られない」
    • 金融当局は政策を「しばらく据え置く可能性が高い」

詳細

  • 過去2カ月で合計9万5000人上方修正され、3カ月平均は17万6000人増-増加幅はなお2018年の水準を下回る
  • 製造業の雇用は3万6000人減と、2009年以降で最大のマイナス
    • ストの影響がなければ増加していた可能性が高い
  • 業種別では娯楽・ホスピタリティーや教育・医療、プロフェッショナル・ビジネスサービスで雇用が特に伸びた
    • 建設や金融、小売りも増加
  • 労働参加率は63.3%に上昇し、2013年以来の高水準
  • 「U6」と呼ばれる不完全雇用率は7%に上昇
    • U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる
    • 一部のアナリストは、この指標の方が実際の労働市場の状況をより正確に反映しているとみて注目している
  • 統計表

原題:U.S. Hiring Resilient With 128,000 Gain Amid Strike, Census (3)(抜粋)