[ワシントン 15日 ロイター] – 米商務省が15日発表した10月の小売売上高は前月比0.3%増と、前月の落ち込みから持ち直した。ただ衣料や高額の家庭用品の売り上げは減り、好調な年末商戦への期待が後退する可能性がある。市場予想は0.2%増だった。 

9月の小売売上高は改定なしの前月比0.3%減。7カ月ぶりのマイナスだった。 10月の前年同月比は3.1%増だった。 

自動車とガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.3%増と、前月の落ち込みから持ち直した。9月は当初発表の横ばいから0.1%減へ下方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も大きく連動するとされる。 

今週発表された統計は物価上昇率が安定してきたことを示す内容で、直近で追加利下げする可能性は低いとする米連邦準備理事会(FRB)の姿勢を後押しした。今月発表された10月の雇用統計も好調だったほか、サービス部門の活動は加速した。 

統計に加え、米中貿易摩擦の緩和を受け、景気後退懸念が和らいだ。パウエルFRB議長は14日の議会証言で、ほかの先進国と比べて「米経済はスター(最も優れている)だ」と評価し、「この状態を続けることができない理由はない」と述べた。 

FRBは先月、今年3度目となる利下げを決めた。7月に2008年以来初めてとなる利下げに踏み切って以降、金利を引き下げ続けてきたが、今回は利下げの休止を示唆した。 

米経済の3分の2以上を占める個人消費は第3・四半期に年率で2.9%増だった。失業率は50年近くぶりの低水準にあり、個人消費を押し上げている。設備投資と製造業の低迷につながった16カ月間の米中貿易摩擦による経済への打撃を和らげている。 

10月の小売売上高の前月比の内訳は、自動車が0.5%増、9月は1.3%減少していた。ガソリンスタンドは1.1%増。9月は0.1%減だった。10月の値上がりはガソリン高を反映した。オンライン小売り・通販は0.9%増だった。9月は0.2%増加していた。 

一方、電子・家電は0.4%減少した。建材は0.5%、衣料は1.0%それぞれ減少した。家具は0.9%減と、18年12月以来の大幅な落ち込みだった。外食は0.3%減と、1年近くぶりの大幅なマイナスだった。運動・娯楽は0.8%減少した。 

ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「第2・四半期から浪費が抑制され、より慎重な姿勢になりつつある。通商面の緊張に加え、依然堅調だが雇用の鈍化を懸念しているのだろう。このような傾向が続けば年末商戦はそれほど盛り上がらないものになる」と述べた。