[北京 22日 ロイター] – 中国の習近平国家主席は22日、同国は米国と「第1段階」の通商合意をまとめたい考えで、貿易戦争を起こさないよう取り組んでいるとした上で、必要であれば報復措置を講じることを恐れていない、と述べた。 

「第1段階」の合意を巡っては、12月初めに両国首脳が署名するとの見通しが中国側から示されていたが、最近になって越年説が浮上している。 

代表取材によると、習主席は国際フォーラムの代表者らに対し「相互尊重と平等の原則に基づき、米国と『第1段階』の通商合意をまとめたい」と述べた。 

「必要なら反撃するが、貿易戦争を起こさないよう積極的に取り組んでいる。中国が貿易戦争を始めたのではなく、これはわれわれが望むものではない」と語った。 

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、関係筋情報として、中国政府が米政府に新たな対面通商協議を提案したと伝えた。中国側は、米感謝祭前の協議開催を期待しているという。米国の当局者らは協議に意欲を示しながらも、明確な日程などには言及していない。 

バシェフスキー元米通商代表部(USTR)代表は、第1段階の合意と引き換えに一部の関税が緩和されるだろうとしたうえで、中国側にしてみれば、それ以外にはどんな合意もあり得ないとの見方を示した。 

習主席は「常に言っている通り、われわれは貿易戦争を始めたいとは考えていないが、恐れてはいない」と述べた。 

今週は米中

今週は米中通商協議が行き詰るのではないかとの懸念が再燃し、世界の市場を圧迫した。米下院は20日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を賛成多数で可決。トランプ大統領は署名する見通しと報じられており、法案が成立した場合、中国との通商協議への影響が懸念されている。 

米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があることが、ホワイトハウスに近い関係者などの話しで同日、明らかになった。中国が関税撤廃拡大を求めているほか、米国もそれに対応して要求を強めているという。 

投資会社プリマベーラ・キャピタル・グループの創設者、フレッド・フー氏は同じフォーラムの合間にロイターに対し、「先送りすれば問題が増えるだけだ」と指摘、「時間をかければかけるほど、香港問題のような不確定要素が増える」と述べた。 

また習主席は22日、北京でキッシンジャー米元国務長官と会談し、「中国と米国の関係はさまざまな困難や試練の中で重要な転機を迎えている」としたうえで、「両国は戦略的な問題で対話を強化し、誤解や誤った判断を避けるべきだ」