[ワシントン 12日 ロイター] – 関係筋によると、米国は中国との通商協議で、発動済みの対中関税を停止あるいは引き下げ、今月15日に予定する1600億ドル相当の中国製品に対する追加関税の発動を延期することで合意した。一方、中国は2020年に500億ドルの米農産物を購入するという。
米農務省のデータによると、貿易戦争前の2017年に中国が購入した米農産物は240億ドルで、今回約束された規模はこの倍以上となる。
ホワイトハウスは正式な発表を行っておらず、こうした条件が双方の合意によるものなのかは疑問が残る。
複数の関係筋はこれより前、米通商交渉団が第1段階の通商合意実現に向け、既存の対中関税の最大50%引き下げのほか、15日に発動予定の対中追加関税の見送りを提案したと述べていた。
米中ビジネス評議会のクレイグ・アレン会長は「署名されれば、米中関係のさらなる悪化を食い止める勇気付けられる第1段階になる」と語った。その上で「これは始まりにすぎず、両国が直面する問題は複雑で多面的だ。すべてを早期に解決する可能性は低い」との見方を示した。
ある関係筋は、米中は原則合意したようだが、文書化された実行可能な内容なのかや、中国が合意しているのかは不明と指摘。「全文が公表されるまでは実行可能ではない。非常に不透明だ」と語った。
トランプ大統領はこの日、中国との通商合意に「極めて近い」と表明。「中国との大規模な合意に非常に近付いている」とし、「中国は合意を望んでおり、米国もだ」とツイッターに投稿していた。
トランプ大統領は10月11日、中国の劉鶴副首相との会談後の記者会見で、米中が「第1段階」の通商合意に達したと発表。中国による米農産品の大規模購入のほか、一部の知的財産権、為替、金融サービスの問題などについて合意したと明らかにした。
数週間で合意文書に署名するとしていたが、中国は特定の期間に一定量の農産物の購入にコミットすることに難色を示し、すでに導入済みの対中関税の引き下げを第1段階の合意の条件とすることを要求していた。