[ニューヨーク 15日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では米中が貿易交渉を巡る「第1段階」の合意に署名したこと を受けドルは下げ幅を縮小したものの、対ユーロと対円で軟調なまま推移した。

米中はこの日、第1段階の通商合意に署名。一部関税措置が取り下げられるほか、中 国は米国からモノとサービスの輸入を拡大させる。ただ2500億ドルの中国製品に対す る25%の関税措置は継続。今後の交渉についてトランプ大統領は第3段階の合意はない との見方を示した上で、「交渉の切り札のために関税措置を残すが、第2段階の合意が得 られ次第、解除する」と述べた。

スコシアバンク(トロント)の首席外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は 「通商合意の署名に市場はほとんど反応していない」と指摘。ただ「ドルはこれまで貿易 戦争を巡る不確実性が高い中でも比較的良好に推移してきた」とし、ドルはこの先、軟化 する可能性もあるとの見方を示した。

ユーロは対ドルで0.22%高の1.1151ドル。 ドルは対円で0 .05%安の109.91円。円は前日の取引で110.20円と、昨年5月以来の安値 を付けていた。

英ポンドは小幅高。英国立統計局(ONS)が発表した2019年12月の消 費者物価指数(CPI)は前年比1.3%上昇と、11月(1.5%上昇)から減速し、 2016年11月以来の低い伸びとなった。インフレ鈍化を受け、イングランド銀行(英 中銀)が今月末にも利下げを決定するとの観測が高まった。

 スイスフランは対ドルで約1年ぶり、対ユーロで約3年ぶりの水準 に上昇した。米財務省は13日に公表した貿易相手国・地域の通貨政策を分析した外国為 替報告書で、中国の「為替操作国」認定を解除した一方、為替慣行を巡りスイスを監視対 象に新たに追加。監視対象とされたことでスイス国立銀行(中央銀行)はフラン相場の防 衛に向けた市場介入を控える可能性があるとの見方が出ている。

ロシアルーブルは軟調。ロシアのプーチン大統領はこの日に行った年次教書演説で「 政治システムの大幅な改革」を表明し、議会の権限強化に向けた憲法改正を提案。202 4年に任期終了を控える自身の権力長期化につながる可能性がある。これを受け、メドベ ージェフ首相は内閣総辞職を表明した。

ドル/円 
 NY午後3時 109.90/109.93
        始値 109.84
        高値 109.99
        安値 109.80
 ユーロ/ドル 
 NY午後3時 1.1150/1.1151
        始値 1.1148
        高値 1.1163
        安値 1.1140