世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会合後に記者会見するアゼベド事務局長(右)ら=24日、スイス・ダボス
世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会合後に記者会見するアゼベド事務局長(右)ら=24日、スイス・ダボス

 【ダボス時事】世界貿易機関(WTO)に加盟する日米欧など35カ国・地域は24日、スイス東部ダボスで非公式閣僚会合を開いた。焦点だった機能不全問題は解決策が見いだせなかった。中国など途上国への貿易ルール優遇見直しを含むWTO改革について、6月の公式閣僚会議で成果を出す方針を確認した。

 WTOの紛争処理機能は、上訴機関である上級委員会のメンバーが米国の反対で選任されず、停止に陥っている。アゼベド事務局長は記者会見で「問題解決の選択肢は提案されているが、まだ合意に至っていない」と説明した。ただ、「短期間での前進に自信を持っている」と述べた。

 こうした現状を踏まえ、欧州連合(EU)と中国、カナダなど16カ国は同日、暫定的な上訴組織を独自に設けることで合意した。

 非公式会合で参加国は、WTOの存在意義が問われている現状への危機感を共有。6月にカザフスタンで開く閣僚会議で、水産資源保全に向けた漁業補助金ルールについて合意を目指すことで一致した。投資円滑化やデジタル貿易でも進展を図る。

 WTO改革に関しては、トランプ米大統領が世界2位の経済大国に発展した中国を途上国として優遇している現行制度を批判。アゼベド氏と近くワシントンで協議し、「劇的なことをする」と表明した。同氏は「トランプ氏と話す改革案の具体的なものは現時点でない」と述べるにとどめた。