[上海 27日 ロイター] – トランプ米大統領は27日、中国を震源とする新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大について、必要な支援を提供すると表明した。これまでの死者は81人に上り、国営中央テレビ(CCTV)によると、北京市でも初めての死者が確認された。
トランプ大統領は「新型ウイルスについて極めて緊密に中国と連絡を取っている。米国内で確認された感染件数はまだ極めて少ないが、注意深く見守っている。習主席にはいかなる支援も提供すると伝えた。米国には類まれな専門家がいる!」とツイッターに投稿した。
新型肺炎への懸念で世界的に株が売られ、米主要株価指数はいずれも1.5%超下落。原油価格も3カ月ぶりの安値を付けたたほか、人民元も年初来安値まで下げた。市場は、世界第2位の経済大国である中国が、感染拡大を受けた移動の禁止や春節(旧正月)の連休延長で打撃を受けると不安視している。
最近の当局発表によると、湖北省の死者は76人に増加。北京で初の死者は武漢市を訪れた50代の男性で、22日に感染が確認されていた。
患者数は中国国内で2835人に上り、約半数が湖北省で確認された。中国以外ではこれまでに日本、タイ、オーストラリア、米国、フランス、カナダなどで患者が確認されているが、今のところ死者は報告されていない。
米疾病対策センター(CDC)は27日、米国内で新たな感染例は見られていないと発表。これまで5人の感染が確認されているほか、全米26州で110人が検査を受けており、そのうち32人が陰性反応を示しているという。
<高まる批判>
一方、検閲が厳しい中国のソーシャルメディア上で、新型コロナウイルスを巡り当局者への批判が高まっている。
発生源とされる武漢市がある湖北省では、提供されるマスクの数を巡り知事が会見中に発言を2回訂正したことに批判が集まった。武漢の周先旺市長は、市の対応が「十分ではなかった」と認め、辞任の意向を示唆した。
人口が約1100万人に上る同市は、春節の連休の中で事実上の閉鎖状態にあり、湖北省も大半で移動が制限されている。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では「湖北省出身者は差別を受けている」との投稿も見られている。