【ミュンヘン時事】世界の首脳や閣僚が、外交・安保課題をドイツ南部ミュンヘンで討議するミュンヘン安全保障会議は16日、3日の日程を終え閉幕した。冷戦期に西側諸国の親密な協議の場だった同会議の伝統は見る影もなく、米国と欧州の議論はかみ合わずに終了。西側の一体感のほころびが鮮明となった。
14日に開幕演説に立ったシュタインマイヤー独大統領は、欧州と価値を共有するはずの米国が「国際社会を拒否している」と指摘。中国、ロシアと並べて米国を批判し、自国優先主義を追求すれば「袋小路」に陥ると警告した。
翌15日に登壇したポンペオ米国務長官は、シュタインマイヤー氏の発言を読み上げ、「率直に驚いた」と反発。米国や同盟国の経済的発展を挙げ、「西側は勝利している」と胸を張った。
ただ、欧州が不満を強めているのは、地球温暖化対策の国際枠組み、パリ協定やイラン核合意など、オバマ前米政権と欧州が一体的に進めた各国際合意から現米政権が離脱し、国際秩序が乱れているためだ。このままなら西側の影響力が失われるとの懸念に、ポンペオ氏は正面からは答えなかった。