[ジュネーブ 9日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は9日、新型コロナウイルスが「パンデミック(世界的な大流行)」となる脅威が「現実味を帯びてきた」と表明しつつも、なお制御可能との認識を示した。
テドロス事務局長は記者会見で「新型ウイルスは多くの国で根付いており、パンデミックは現実味を帯びている」と語った。同時に「制御可能なパンデミックとして初のケースとなるだろう。われわれは新型ウイルスに翻弄(ほんろう)されない」と言明した。
感染約11万例の93%が中国、韓国、イタリア、イランの4カ国に集中しているとした上で、新型ウイルス対策は封じ込めと影響の緩和双方に注力すべきと指摘。「パンデミックが現実になってもならなくても、決して諦めないという方針は変わらない」と述べた。
また、「イタリアが封じ込めに向け積極的な措置を講じていることは心強く、数日中に効果が表れると期待している」と述べた。中国については「感染は制御されつつある」としたほか、韓国は新たな感染件数が減っていると指摘。シンガポールが取った対応策にも評価を示した。
イタリアは8日、新型ウイルスの感染拡大阻止に向け、金融の中心地ミラノを含む北部の大部分を事実上封鎖する措置に踏み切った。
WHO緊急事態プログラム責任者のマイク・ライアン氏は、発生源となった中国湖北省の武漢で取られた措置も引き合いに出し、ウイルスの感染地域の拡大を必ずしも阻止することはできないが、事前に警告されることで対応を準備する時間は得られるとの考えを示した。