北里大は6日、ノーベル医学生理学賞の大村智特別栄誉教授が開発に貢献した抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認を目指す治験を実施すると明らかにした。
北里大を視察した西村康稔経済再生担当相に担当者が説明した。同意を得た患者に投与し、症状の改善効果や副作用の有無などを確かめる。北里大病院で希望する患者に投与する観察研究も検討する。治験の開始時期や規模は未定。
イベルメクチンは海外の研究で新型コロナウイルスの増殖を抑える効果が報告されている。大村さんは西村氏との意見交換で、新型コロナ患者約1400人を対象とした米ユタ大のチームの研究を紹介。別の治療を受けた患者の死亡率が8・5%だったのに対し、イベルメクチンを投与した場合は1・4%だった。
イベルメクチンはアフリカやアジアに広がる寄生虫が原因の熱帯感染症の特効薬。北里大大村智記念研究所の花木秀明センター長は「イベルメクチンは原料を中国に依存しており、国内に供給体制をつくることが課題だ」と話した。