- 中国、韓国、香港は感染が落ち着いた後、新たなクラスターに直面
- 無症状者の数を考えると第2波は予期せぬ感染源から発生-専門家
旅行歴のない高齢女性の感染、ナイトクラブでの予期せぬ集団感染、国境に近い町で起きた経路不明の感染拡大。
香港、韓国、中国はこれまで、厳格なロックダウンや迅速な検査体制の拡充で新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めに世界で最も成功した例とみられてきた。しかし、ここにきて再び感染に見舞われている。
このことは、例え症例数が少ない落ち着いた状態が続いた後であっても、活動が再開されて人々が通常の生活に戻れば、感染の「第2波」が起きる可能性が高いことを否応なく思い出させる。
「無症状者の数を考えると、これら症例は予期せぬ感染源から出てくることになる」と香港城市大学ニコラス・トーマス准教授(公衆衛生学)は指摘。「社会の再始動により、症例が増えることになるのは避けられない」と語った。
香港では今週、旅行歴のない66歳の女性の感染が確認され、域内感染ゼロの記録が23日間で途切れた。この患者の家族も複数感染が確認されている。女性は感染が見つかるまで香港の密集地域を移動していたため、さらに多くの感染者を生んだのではないかとの懸念が高まっている。
韓国では、同性愛者がよく訪れるソウル市内のナイトクラブに関連する新型コロナ感染件数が100件を超えた。保健当局者は4月下旬以降にこれらクラブを訪れた5500人余りの検査を試みているが、長年にわたるホモフォビア(同性愛嫌悪)が残る同国では、検査に名乗り出るのを恐れる人もいる。
新型コロナは2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と違い、根絶はされないという見方も強まっている。
SARS感染者はすぐに目に見えて病状が悪化し、治療のために患者が隔離されると感染は収束した。しかし新型コロナは多くの人が軽症もしくは無症状のため感染が表に出ないまま広がり、インフルエンザのように季節的に急増する可能性がある。
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世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長の葛西健氏は13日、「今はウイルスと共存する方法を見つけなければならない。これがニューノーマルだ」と指摘。「この相互接続された世界でウイルスが移動している限り、そして安全かつ効果的なワクチンが手に入るまでは、誰もが危険にさらされたままだ」と述べた。
感染経路の追跡さらに困難
第2波は感染経路の追跡がさらに困難なことが分かっている。中国では今月に入り、舒蘭市の警察施設で洗濯係として働く45歳の女性の感染が明らかになったが、感染源は不明のままだ。この女性から20人以上に感染が連鎖した。
中国疾病対策センター(中国CDC)の疫学者、吴尊友氏によると、異なる潜伏期間を考えると舒蘭市のケースでは洗濯係の女性が最初の感染者ではない可能性もあるという。
前出の香港城市大学のトーマス准教授は、人口密度が高いアジアは世界の他の地域よりもはるかに多くの課題に直面していると語った。
原題:Second Waves That Are Hard to Trace Plague Asia’s Virus Recovery(抜粋)