[ベンガルール/ロンドン 21日 ロイター] – 米厚生省は21日、英製薬アストラゼネカ(AZN.L)に最大12億ドルの資金援助を提供し、同社がオックスフォード大学と開発した新型コロナウイルスのワクチン候補3億回分を確保すると発表した。
アストラゼネカは今年から来年にかけて10億回分の生産が可能との見通しを示しており、米国はその3分の1を確保したことになる。
アストラゼネカは英政府とも1億回分の供給契約を締結済みで、3000万回分の供給を9月にも開始したい考え。
アザー厚生長官は声明で「このアストラゼネカとの契約は、2021年までに、安全で効果があり、あらゆる場所で入手できるワクチンの実現を目指す『ワープ・スピード作戦』の重要な一里塚だ」と表明した。
米国内で3万人の被験者を対象に最終臨床試験を実施する方針。
一方アストラゼネカは、ワクチンに効果が見られない可能性もあるとし、後期臨床試験に向けて進む前に英南部で実施している初期試験の結果待ちの状態だと強調した。
米政府との合意により、米生物医学先端研究開発局(BARDA)が最大12億ドルの資金を拠出する。資金は臨床研究など開発事業のほか、迅速な供給のための製造規模拡大などに充てられる。
新型コロナ感染症による死者が世界で32万7000人を超え、経済に深刻な打撃が及ぶ中、各国のワクチン開発競争が激しくなっている。
米政府はすでに、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N)、モデルナ(MRNA.O)、サノフィ(SASY.PA)のワクチン開発支援も決めており、資金力のある国が先に入手するとの懸念が広がっている。
トランプ米大統領は、ホワイトハウスで記者団に対し「ワクチンや治療薬に関しては多くのことが起きている」と述べ、治療薬について「今後1、2週間に数多くの大きな発表があるだろう」と述べた。
アストラゼネカは、ワクチンのアクセスや生産の拡大に向けて各国政府やパートナーと協議しており、公平な配分と供給を図るため国際機関とも意見を交わしていると強調した。