【ニューヨーク時事】米中西部ミネソタ州ミネアポリスで25日、黒人男性が拘束時に白人警察官に首を圧迫されて死亡した問題で、地元捜査当局は29日、免職となった元警官を殺人などの容疑で逮捕したと発表した。目撃者が撮影した拘束時の動画が広まり、抗議デモの一部が暴徒化。緊張が高まる中、捜査当局は「異例の速さ」(当局者)で逮捕に踏み切ったが、デモは続いている。
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米メディアによると、ニューヨークやジョージア州アトランタをはじめ各地で逮捕後もデモが続いた。アトランタでは車両が燃え、拘束者も出た。CNNテレビによれば、アトランタのCNNセンター入り口では、デモ隊が物を投げるなどして窓を破損。警官隊とにらみ合った。
米国では白人警官による黒人への過剰な暴力が人種差別の象徴と見なされ、社会問題化している。暴動が相次いだミネアポリスでは、夜間外出禁止令の施行後もデモが起きている。
捜査当局によると、逮捕されたのはデレク・ショビン容疑者(44)。当局が裁判所に提出した文書などによると、ショビン容疑者ら警官4人は偽札使用の通報を受けてスーパーに駆け付け、同容疑者を含む3人が、現場近くで黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)に手錠を掛けてうつぶせの姿勢で押さえ付けた。同容疑者はこの際、フロイドさんの首を8分46秒にわたり膝で圧迫した。
フロイドさんは「息ができない」と繰り返し、反応がなくなってからも2分以上圧迫が続いた。脈拍も確認できなかったとされ、搬送先の病院で死亡が確認された。ショビン容疑者以外の3人の警官(いずれも免職)の捜査も続いている。
捜査当局者は29日、記者会見し、警官の暴力をめぐる捜査は通常「9カ月~1年」かかると指摘。今回は動画や検視結果などから早期逮捕に至る「十分な証拠」を得たと説明した。