[フィラデルフィア 2日 ロイター] – 11月の米大統領選で民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は2日、国内で激化する黒人男性暴行死を巡る抗議デモを受け、トランプ大統領の対応を強く非難し、自身は米国における人種の分裂を癒やすことにコミットすると強調した。 

バイデン氏はフィラデルフィアで演説し、「米国は指導者を強く求めている。団結を可能とする指導者だ」と語った。 

抗議デモの引き金になった黒人男性ジョージ・フロイドさんの暴行死事件については、人種差別への対処を促す「警鐘」とし、「これまでと同じように目を背け何もしなくても良いと考えてこの瞬間を立ち去ることはできない」と強調した。 

さらに、バイデン氏はトランプ大統領の対応を引き合いに出し、自身は「恐怖心や分裂を駆け引きすることも、憎しみの炎をあおることもしない」と言明した。 

トランプ大統領は前日、抗議デモが一部で暴力や略奪、放火などに発展していることを「国内テロ」と批判し、軍を投入するとけん制。また、バイデン氏の演説に先立ち、ツイッターへの投稿で「圧倒的な勢力。支配」によって首都ワシントンDCなどでの抗議デモは比較的落ち着いていたと自負した。 

大統領選に向けたトランプ陣営幹部のカトリーナ・ピアソン氏はバイデン氏の演説について「米国の混乱を大統領選に利用する露骨な政治的打算」と対抗した。 

バイデン氏は新型コロナウイルス流行が始まった3月中旬以降外出を自粛し、自宅から選挙戦を展開しており、この日は約2カ月半ぶりの主要演説となった。