[東京 9日 ロイター] – 東京電力ホールディングス (9501.T)傘下で再生可能エネルギー専業会社東京電力リニューアブルパワー(東京都千代田区)の文挾誠一社長は、ロイターとのインタビューに応じ、2030年代前半までに国内外で約1―2兆円を投資し、600―700万KWの洋上風力・水力発電事業の開発を行うと述べた。既存の水力発電分400億円を含めて1000億円の利益規模を目指す。加速する脱炭素の流れが追い風となる。 

インタビューは3日に行った。 

既存の水力発電によって利益は400億円確保できている。ただ、半分は設備が古く、小規模なため、これを更新することで、150億円程度利益を上積みできるという。 

海外の水力発電は東南アジアなどで200―300万KWを開発し、150億円程度を見込む。洋上風力は、国内で200―300万KW、海外で200―300万KWの開発を行う。文挾社長は「海外洋上風力は競争が激しく、300万KWでも利益は100億円程度。国内は、FIT(固定価格買い取り制度)を活用して、200―300万KWの開発で200億円の利益が上げられる」との見通しを示した。 

文挾社長は、開発のための総投資額は「約1―2兆円になる」とした。 

足元で新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、東電が2018年に設定した開発目標に変わりはないという。文挾社長は「電源開発は時間がかかる。1―2年ではできないため、長い目で見て、コロナの影響をどう踏まえるかも含めて、開発を行っていく」と述べた。 

こうした開発によって、東電グループ全体の発電設備に占める再生可能エネルギーの設備容量は現在の20%から25%に増加することになる。 

海外案件の開発地域については「東南アジアと北米が洋上風力の主要ターゲットであり、水力発電は東南アジアに重点を置いている」と述べた。 

同社は、3月18日にデンマーク電力大手で洋上風力世界最大手のオーステッド(ORSTED.CO)と共に銚子沖洋上風力プロジェクトの推進に向けた共同出資会社「銚子洋上ウインドファーム」を設立、公募に向けて準備を進めている。文挾社長は、東電が同地域ですでに商業運転を行っている実績から、風況や風の乱れ、波の高さなどさまざまなデータを有していることが強みになるとしたほか、オーステッド社は建設や資材調達にノウハウがあるとし「競争力のある価格で提示できる」と述べ、勝算があるとした。 

大林優香 清水律子 編集:青山敦子