[ワシントン 8日 ロイター] – 世界銀行は8日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による影響により、世界の域内総生産(GDP)は2020年に5.2%縮小するとの見通しを示した。ただ、パンデミックを巡る不確実性やロックダウン(都市封鎖)措置が続けば下振れする可能性があるという。 

世界経済見通し(GEP)によると、20年のGDPは先進国で7.0%縮小する見込み。新興国では2.5%縮小と、1960年のデータ集計開始以来初の縮小が見込まれるという。1人当たりGDPでは、第二次世界大戦後の1945─46年以降で最大の落ち込みとなる見通し。 

世銀関係者によれば、ベースシナリオは、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)やロックダウン、一時的な事業閉鎖などが6月末に緩和し始めることを前提にしている。 

ただ、GEPでは、ロックダウン措置が今年3カ月間延長されるという下向きのシナリオも提示。ロックダウン措置が延長されれば、恒久的な事業閉鎖の増加や世界貿易の崩壊拡大、家計支出削減の深刻化などが起こり、20年のGDPは先進国で8─10%、新興国で5%縮小するとした。 

アイハン・コーゼ見通し局長は記者団に対し、「下向きシナリオが実現した場合、21年の回復は非常に緩慢なものになる」とし、来年の世界の経済成長率は1.3%程度にとどまると述べた。 

またパンデミックによって極度の貧困状態に陥る人数を従来の6000万人超から7000万─1億人に修正した。 

国・地域別の20年GDP見通しでは米国と日本が6.1%、ユーロ圏が9.1%、ブラジルが8.0%、インドが3.2%それぞれ縮小すると想定。中国は1.0%成長を見込んだが、1月時の6.0%成長からは下方修正された。