[10日 ロイター] – 米製薬大手イーライリリー(LLY.N)が開発する新型コロナウイルス感染症に特化した抗体治療薬は、現在行われている2例の臨床試験(治験)のいずれかが順調に進めば9月にも承認される可能性がある。同社の最高科学責任者(CSO)であるダニエル・スコブロンスキー氏が10日、明らかにした。
同社のコロナ向け抗体治療薬の試験は、3例目が前臨床試験として始まっており、今後数週間でヒトの臨床試験に移行する可能性もあるとした。
リリーの抗体薬は、がんや関節リウマチなどの疾患治療に広く使用されているモノクローナル抗体のクラスに属する。新型コロナ向けのモノクローナル抗体薬は、現在コロナ治験で使用されている再開発薬よりも高い効果が期待される。
スコブロンスキー氏はこの治療法がコロナ感染の予防にも効く可能性があると指摘。有効性が証明されれば、ワクチンをしのぐコロナ治療薬として広く使用される可能性があると述べた。
また「治療の適応については、かなりのスピードで進む可能性がある。もし8月や9月の段階で治療を受けた患者が入院に至らなかったとしたら、それは強力なデータとなり、緊急時の使用承認につながる可能性がある」と述べ、実用化の時期について「9月、10月、11月を見込むのは不合理ではない」との考えを示した。
コロナワクチンを巡っては前例のないスピードで開発・試験が進んでいるものの、実用化は早くて年末とみられている。