[ワシントン 10日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は9─10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0─0.25%に据え置くと同時に、異例の経済支援を継続すると改めて表明した。国内総生産(GDP)は今年6.5%縮小するとしたほか、失業率は年末時点で9.3%になるとの見通しを示した。
FRBが経済見通しを発表するのは昨年12月以来で、新型コロナウイルス危機後で初となる。経済見通しでは失業率が21年末で6.5%、22年末で5.5%に低下するとした。ただ昨年末の水準を2%ポイント上回っている。
FRBは声明で「現在進行中の公衆衛生上の危機は短期的に経済活動や雇用、インフレへの大幅な重しになり、中期的な経済見通しにかなりのリスクをもたらすだろう」と指摘。少なくとも2022年まで翌日物金利をゼロ近辺に維持するとした。
決定は前回一致だった。
今回の声明では大部分において4月時の文言が繰り返されたが、FRBは資産買い入れプログラムについて、米国債で月間約800億ドル、政府機関債および住宅ローン担保証券(MBS)で月間400億ドルという「現在のペース」を維持すると明言。経済回復に向けた長期的な戦略の策定に着手している兆しとみられる。
パウエルFRB議長は会見で「可能な限り力強い景気回復を確実にするため、FRBはあらゆる政策手段を駆使することにコミットしている」と再表明した。
経済見通しでは、経済の回復は21年から本格的に開始する見込みとし、同年の経済成長率予想をプラス5.0%とした。
さらに、長期の完全雇用、トレンド成長、FF金利見通しは据え置き、米経済が長期的な打撃を免れた可能性があるというFRBの見解を示唆した。
ノースイースト・インベスターズ・トラストの会長兼ポートフォリオマネジャー、ブルース・モンラッド氏は「低金利を維持しつつ、それが将来的には効果を発揮し、金利が中立水準に到達するというメッセージだろう」と述べた。
FOMCの結果を受け、ほぼ変わらずで推移していた米国株はまちまちに。ダウ平均.DJIとS&P総合500種.SPXは下落、ナスダック総合.IXICは上昇し、一時過去最高値を更新した。
米債利回りが上昇した一方、ドルはユーロEUR=や円JPY=に対し下落した。