[ニューヨーク 11日 ロイター] – 米国株式市場では主要3指数が5%超下落し、3月中旬以来の大幅な下げとなった。ダウ工業株30種.DJIは1861ドル(6.9%)急落した。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された厳しい経済見通しを織り込む中で、新型コロナウイルスの感染第2波を巡る懸念が再燃した。 

幅広い銘柄が売られ、S&P総合500種.SPXの11主要セクターは軒並み下落。エネルギー.SPNYは9.5%、金融.SPSYは8.2%の大幅安となった。 

キングスビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏は「買いを入れる局面は実質存在しなかった。終日売られる展開だった」と述べた。 

インバーネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「相場が天井圏に迫っているとの懸念がある」と指摘した。 

ハーバード・グローバル・ヘルス研究所の研究者は前日、新型コロナ感染症による米国の死者が9月に20万人に達するとの予想を発表した。

米連邦準備理事会(FRB)は9─10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で異例の経済支援を継続すると改めて表明。パウエル議長は会見で回復は「長い道のりだ。しばらく時間がかかる」と語った。

ノバポイントの最高投資責任者ジョセフ・スロカ氏は「2022年まで金利を据え置くという表明によって、FRBが景気回復ペースへの懸念を深めているとの印象を与えた可能性がある」と述べた。 

朝方発表された米指標では、6月6日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が前週比35万5000件減の154万2000件となったものの、5月30日終了週の失業保険受給総数は2092万9000件と高水準にとどまっている。

5月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.4%上昇。食肉価格の上昇が主な押し上げ要因となり、予想の0.1%を上回って上昇したが、卸売物価の基調的なトレンドはなお低調となっている。

投資家の不安心理を映すボラティリティー・インデックス(VIX、恐怖指数)は3月16日以来の大幅な上昇を記録した。 

前日のFRBの決定を受け、金利動向に敏感な銀行株.SPXBKは9.6%下落。旅行関連株の売りも膨らみ、S&P1500航空株.SPCOMAIRは13.8%急落した。 

ボーイング(BA.N)は16.4%の大幅安。主要サプライヤーのスピリット・エアロシステムズ(SPR.N)がボーイング737機の生産などに関わる従業員を21日間レイオフとする方針を発表した。 

クルーズ船運航のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(NCLH.N)は16.5%、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL.N)は14.3%それぞれ下落した。 

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を17.60対1の比率で上回った。ナスダックでは12.98対1で値下がり銘柄数が多かった。 

米取引所の合算出来高は約153億1000万株。直近20営業日の平均は約128億3000万株。