[ニューヨーク 16日 ロイター] – 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが上昇した。5月の米小売売上高が過去最大の伸びを記録し、米経済の最悪期は脱したとの見方が強まった。 

この日は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、公聴会で半期に一度の議会証言を行い、米経済について、新型コロナウイルス流行が制御されていると米国民が考えなければ、完全に回復しないだろうと指摘。ただ安全通貨としてのドル買いにつながり、ドル上昇の歯止めにはならなかった。 

テンパスの為替トレーダー、フワン・ペレス氏は「パウエル氏の発言はかなりネガティブな内容だった。パウエル氏は現実主義者だろう。ドルがやや上昇したのはパウエル氏が言及した不確実性が理由だ。米経済のリセッション(景気後退)の長期化に備えているように見える」と述べた。 

午後の取引で、ドル指数=USDは0.5%高の97.019。対ユーロEUR=EBSでは0.5%高の1.1262ドルだった。 

一方、対円JPY=EBSではほぼ変わらずの107.29円。序盤は上昇していたが伸び悩んだ。 

米商務省が16日発表した5月の小売売上高は前月比17.7%増と、市場予想の8%増を上回り、1992年の統計開始以降で最大の伸びを記録した。新型コロナウイルス流行の影響で過去最大の落ち込みとなった前月の14.7%減(改定)から大きく持ち直した。前年同月比では6.1%減少した。 

ローゼンバーグ・リサーチのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は「33%の貯蓄率は新たな消費に向けた十分な手元資金になる」と指摘。最近の堅調な経済指標を受け、米GDPの縮小幅が幾分抑制されるかもしれないとし、「重要なのは第4・四半期まで持続するかどうかだ」と述べた。 

取引序盤には市場心理が改善した。トランプ米政権が景気てこ入れ策の一環として1兆ドル近いインフラ計画の提案を準備しているとの報道を受けた。 

ドル/円 
 NY終値 107.32/107.35 
   始値 107.30 
   高値 107.62 
   安値 107.22 

ユーロ/ドル 
 NY終値 1.1263/1.1265 
   始値 1.1314 
   高値 1.1319 
   安値 1.1229