- 中国の衛生当局専門家、輸入シーフードを買わないよう呼び掛け
- 大手スーパーや食材宅配アプリ、サーモンの販売中止
新型コロナウイルス感染症例が再び増加している北京では、非難の矛先が輸入サーモンに向かい、全国的な不買運動へと発展している。
権威ある専門家がサーモンを食べないよう市民に呼び掛けたこともあり、ウォルマートなど大手スーパーマーケットの食品棚からサーモンは消え、食材宅配プラットフォームでも提供が中止になった。雲南省や上海市など地方当局は、地元の生鮮市場で取り扱われている海産物についてウイルス検査を始めた。
北京では新たに100人以上の感染が確認された。この感染源となった市内最大の野菜卸売市場である新発地卸売市場の責任者は、輸入サーモンの販売業者が使用していたまな板からウイルスが検出され、今回の感染が始まったと主張した。
解凍された魚から実際に感染することがあり得るのかどうかは定かではないが、この騒ぎが7億ドル(約750億円)規模に上る輸入サーモン市場を直撃し、デンマークやノルウェー、オーストラリアなど主要輸出国は打撃を被る。
国家衛生健康委員会の上級専門家、曾光氏は14日の国営メディアとのインタビューで、「人からサーモンにうつるのか、またはサーモンが今回のウイルスの起源なのかはまだわからない」としながらも、北京市市民に当面は生のサーモンを食べたり、輸入シーフードを購入したりしないよう呼び掛けた。
中国疾病対策センター(中国CDC)の疫学責任者、吳尊友氏も14日、ウイルスは冷凍された食品の表面で最長3カ月生存することが可能だと述べ、CDCではウイルスが付着した物から北京での流行が始まったとの見方を強めていると話した。
一方、国連食糧農業機関(FAO)は4月に発表した調査で、新型コロナが水産物にうつるのか、水産加工品がウイルスで汚染することがあるのかは判明していないとしつつ、そのリスクは「適切な食品処理と衛生管理があれば無視できる程度」だと指摘。新型コロナの感染者が扱った際に表面が汚染されることはあるかもしれないとの見方を示していた。
原題:Salmon Shunned in China After Link to Beijing Virus Outbreak (2)(抜粋)