[アトランタ 19日 ロイター] – 米国の奴隷解放記念日「ジューンティーンス」に当たる19日、全米各地で人種差別撤廃や警察の暴力反対を訴えるデモ行進が行われた。企業の間でもこの日を有給の休日とする動きが広がった。白人警官による黒人暴行死を引き金に人種差別に対する抗議デモが全米に広がる中、今年の記念日は例年以上に深い意味を持つとみられる。 

ただ、今年は新型コロナウイルス感染を巡る懸念から、多くの記念行事は中止され、デモ行進のほか、オンラインやソーシャルメディア上でのフォーラムやイベントが行われた。 

1960年代の公民権運動で主要な拠点となった南部ジョージア州アトランタでは、約1000人が州議会議事堂付近で平和的なデモ行進に参加した。アトランタでは先週、黒人男性が白人警官に銃撃されて死亡する事件が起きており、人々の人種差別問題に対する関心は高い。デモ行進参加者の間からは「公民権運動は終わっていない」との訴えが聞かれた。 

奴隷解放宣言が行われたテキサス州では、新型コロナウイルス感染を踏まえ、最大都市ヒューストンで予定されていた記念イベントがオンライン上で行われた。同イベントには例年約6000人が集うという。また、同州はミネソタ州で白人警官に首を圧迫されて死亡したジョージ・フロイドさんの出身でもある。 

米企業では、配車サービス大手ウーバーをはじめとする大手企業の多くが19日を有給の休日としたほか、JPモルガン・チェースやキャピタル・ワン・ファイナンシャルなどの金融機関はオフィスや支店の業務時間を短縮した。 

ティナ・スミス議員ら民主党上院議員4人は、ジューンティーンスを米国の連邦祝日にすることを宣言する法案を提出する計画という。 

一方、トランプ大統領が20日にオクラホマ州タルサで開催する選挙集会も注目される。集会は当初19日に予定されたが、人種差別への抗議デモが全米に広がる中、数カ月ぶりとなる選挙集会を奴隷解放記念日に再開することに批判が高まっていた。また、タルサは約100年前に歴史的な黒人虐殺事件が起きた土地でもある。