[北京/ジュネーブ 19日 ロイター] – 中国疾病予防管理センターは19日、北京で集団感染が起きた新型コロナウイルスについて、遺伝子配列を分析した結果、欧州のウイルス株とみられるとの暫定見解を示した。
分析結果は、世界保健機関(WHO)に提出したとしている。
中国国家微生物学データセンターのウェブサイトに掲載された研究報告によると、ウイルスの遺伝子データは、ヒト2人と、ヒト以外から採取した3種類のサンプルに基づく。採取した日は、北京で数カ月ぶりに新型コロナ感染者が確認された6月11日。
中国疾病予防管理センターの幹部は19日公表の論文で「遺伝子学的、疫学的研究の暫定結果によると、ウイルスは欧州(株)とみられる。ただし現在欧州で流行しているものとは異なり、それより古いものだ」とした。
どのようにして中国に入ってきたかについては複数の可能性があるとし、輸入冷凍食品がウイルスに汚染されていた可能性や、感染源とされる北京市内の食品卸売市場など、暗くじめじめした環境に潜んでいた可能性を挙げた。
同センターの疫学専門家は今週、国営メディアに対し、必ずしも欧州から直接入ってきたわけではないが、北京で採取されたウイルス株は欧州株に似ていると指摘していた。
WHOで緊急事態対応を担当するライアン氏は「ウイルス株は世界中を行き来しているため、欧州が起源とはいえず、ある時点で北京外から入ってきた可能性が最も高い」と指摘。その上で、ウイルスが北京に到来した時期や、これまでの感染者数、感染拡大の要因などを特定することが重要だが、ウイルスはヒト由来とみられ、種の壁は越えていないとの見方を示した。