- 銀行団のスタンドスティル合意、短期的な措置でしかない-関係者
- 債務の株式化など選択肢に浮上、ワイヤーカード社債は大幅続落
会計問題が発覚したドイツのオンライン決済会社ワイヤーカードは、17億5000万ユーロ(約2100億円)の回転信用枠について、銀行団から短期間の返済猶予を認められた。銀行団は返済を迫る前にワイヤーカードの長期的な存続可能性を見極めることに決めた。
事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、銀行団はワイヤーカードの記録を精査し、ビザやマスターカードなど利害関係者と最大限の返済を確保するための最善策を協議。一方、アドバイザリー企業FTIコンサルティングはワイヤーカードが融資条件を順守しているか監視する。
銀行団は返済を猶予するスタンドスティルで合意したが、最終的な決断を下すまでの短期的な措置でしかないとみられていると、非公開の情報だとして匿名を条件にした同関係者は述べた。
ワイヤーカードは今週に入り、これまで保有現金としてバランスシートに計上していた19億ユーロが存在しない可能性を明らかにした。それ以来、同社の株価は急落し、この不明資金の実態について刑事捜査も行われている。
ブルームバーグが報じたところによると、主要な融資元はABNアムロやコメルツ銀行、INGグループなど。
銀行 | 融資額(100万ユーロ) |
---|---|
ABN Amro, Commerzbank, ING, LBBW | 200 |
Barclays, Credit Agricole, DZ Bank, Lloyds | 120 |
Bank of China, Citi, Deutsche Bank, MUFG | 80 |
Raiffeisen Niederösterreich | 60 |
Agricultural Bank of China | 55 |
Raiffeisen Oberösterreich | 45 |
関係者の1人によると、銀行にとって債務の株式化が選択肢の一つに浮上。ワイヤーカードは事業の部分売却も示唆している。24日の市場で2024年に償還期限を迎えるワイヤーカードの社債は大幅に続落し、額面1ユーロ当たり0.2167ユーロと過去最低に落ち込んだ。
ワイヤーカードの広報担当者は状況に関する発表を行う予定はないと述べ、FTIの担当者はコメントを避けた。
原題:Wirecard Wins Short Reprieve as Banks Scan Long-Term Damage (1)(抜粋)