コロナ禍でも強いのは米国と中国の企業――。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)がまとめた「パンデミック下でも繁栄する世界トップ100社」の集計で、そんな姿が浮かんだ。米国企業は47社、中国企業は24社が入る一方で、日本企業は3社にとどまる。世界の投資家が「コロナ後」を見据えるなかで、日本企業の存在感の薄さが浮き彫りになっている。
FTは今年初めから6月半ばまでの時価総額の増額分について、世界の企業ランキングをまとめた。「コロナ後」に成長する企業を世界の投資家たちがどう見ているかを映し出す内容だ。ネット小売り、クラウド、ソーシャルメディア、製薬などの企業が多い。
トップ10のほとんどをアマゾンやマイクロソフト、アップル、グーグルの親会社アルファベットなどの米西海岸のIT企業が占めたほか、米企業は全体の半分近くに上った。中国企業では、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営するテンセントが5位になるなど、計24社がランキングに入った。
100位以内に入った日本の企業は3社。経済規模では世界3位の日本だが、今回の時価総額の増額ランキングでは米中に大きく見劣りする内容だった。
スイス・ロシュ傘下の中外製薬(東京)は、時価総額が339億ドル増え、21位。関節リウマチ薬アクテムラが、新型コロナウイルスの重症患者の治療薬として期待されている。
FA(ファクトリーオートメーション)のセンサーを手がけるキーエンス(大阪)は、時価総額を146億ドル増やし、48位に入った。FTは「6月初めには同社株は過去最高をつけ、トヨタに次ぐ日本で2番目の価値の企業になった」と紹介した。
また、がん治療薬に強みがある第一三共(東京)は時価総額を111億ドル増やし、68位に入った。
国別でみると、米、中に続いて、オランダは5社が入った。それに次いで3社が入ったのは、日本のほか、韓国、スイス、カナダだった。(サンフランシスコ=尾形聡彦)