- 国家安全維持法、香港への干渉を試みる外国勢力を抑止-張暁明氏
- 香港を再び軌道に乗せるための転換点-香港マカオ事務弁公室副主任
中国当局は1日、香港への統制を強める「香港国家安全維持法」は国家安全を著しく脅かす極めて少数の人物が対象だと説明。常に迫る危険を示す古代シチリアの故事「ダモクレスの剣」を引き合いに出し、反対勢力をけん制した。
国務院(政府)香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任は北京で開いた記者会見で国家安全維持法に関して、「国家安全を著しく脅かしている極めて少数の犯罪分子の頭上につるされた『ダモクレスの剣』だ」と説明。「この法律は香港への干渉を試みる外国勢力を抑止するだろう。香港を再び軌道に乗せるための転換点だ」と述べた。
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は6月30日、香港国家安全維持法草案を全会一致で可決。香港基本法の付属文書に追加することを決めた。習近平国家主席が署名した後、香港国家安全維持法は30日遅く官報に掲載され、即時発効した。
政権転覆と国家分裂、テロ活動、外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為を罰する法律で、最高刑は無期懲役。7月1日は中国への香港返還の記念日に当たるが、毎年行われていた大規模なデモ行進は初めて禁止された。
香港国家安全維持法の主な内容 |
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・国家分裂罪、国家政権転覆罪、テロ活動罪、外国勢力との結託を通じた国家安全危害罪の最高刑は無期懲役 ・国家安全維持法の施行後の行為に適用 ・香港の住民あるいは企業、いかなる場所の非居住者が対象 ・テロ罪には交通網の「重大な破壊」が含まれる ・外国勢力との結託には外国による制裁の主張も含まれる ・政権転覆には香港行政機関の転覆とオフィスへの攻撃が含まれる ・外国による介入、または他の「深刻な状況」に関連した「複雑な」案件は中国当局に起訴する権限 ・国家機密など「公開裁判に適さない」対象が絡む案件では非公開の裁判を許可 ・報道機関と外国の非政府組織(NGO)の「管理」強化を要求 |
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は1日、国家安全法は中国への返還以降の中央政府との関係において「最も重要な発展」と評価。「中国の主権と領土保全、安全を守るためのメカニズム改善で歴史的な一歩だ」と語った。
民主派の毛孟静立法会議員は1日午前、香港国家安全法について「私が恐れていたよりも悪い」と説明。「秘密・非公開裁判の可能性があり、中国の駐香港要員はあらゆる責任を免れる一方、市民は有罪となれば公職から追放され、香港の外国メディアの『管理を強化』する」ことを示唆する条項などがあると指摘した。
民主活動家、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や周庭(アグネス・チョウ)氏は30日、両氏らが創設に関わった政治団体「香港衆志(デモシスト)」からの離脱を表明。同団体も、解散し全ての活動を停止すると発表した。活動家らは個人の身分で抗議活動を続けるとしている。
ジョンソン英首相は30日、「深く懸念している」と表明。トランプ米政権は29日、香港の貿易上の優遇措置の取り消しに向けた措置を取った。
中国外務省の趙立堅報道官は30日、いかなる国も香港の問題に干渉する権利はないとし、米国に関しては「必要な報復措置」を取る可能性があると警告した。
原題:China Says Hong Kong Law Hangs ‘Sword of Damocles’ Over Critics、China Calls Law ‘Turning Point’ for City: Hong Kong Update、China’s Xi Signs Order to Impose Security Law: Hong Kong Update、China Approves New Hong Kong Security Law, Drawing U.S. Threats(抜粋)