[ワシントン 2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から480万人増となり、1939年の統計開始以降で最多となった。国内でレストランやバーの営業再開が広がり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気後退底打ちの兆しを示したものの、企業のレイオフは継続し、複数州で再拡大する新型コロナ感染が景気回復を脅かす可能性がある。
6月の失業率は11.1%と、5月の13.3%から改善した。
今回の統計には、6月にカリフォルニアやフロリダ、テキサス州などで始まった新型コロナ感染者数急増の影響は含まれていない。
MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「6月は嵐の前の静けさかもしれない。コロナ禍で職を失った人は何千万人にも達しており、そうした大勢の人を再雇用に導くほど労働市場の回復が進むかどうか定かでない」と語った。
専門家らは、政府が導入した中小企業支援制度(給与保障プログラム、PPP)が雇用の一定の押し上げに寄与する一方、これまで都市封鎖(ロックダウン)の影響をあまり受けなかった企業の間でも需要低迷のあおりから従業員をレイオフ(一時帰休)する動きが広がっていると指摘した。
ロイターのエコノミスト調査では雇用者数は300万人増と予想されていた。5月の雇用者数は269万9000人増だった。
トランプ大統領は6月の雇用統計が好調だったことを受け、多岐にわたる分野で雇用増が見られ「歴史的な数値」だったとし、「米経済は勢いよく回復している」と表明した。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は今週の議会証言で「今後の経済の道筋は著しく不確実となっており、主にウイルス制御の成功にかかっている」と警告している。
雇用は6月に幅広い分野で拡大し、小売、製造、建設、教育などが堅調に増加した。政府部門も小幅増加した。レストランやバー、ジム、歯科医院などの営業再開に伴い、一時解雇されていた従業員が職場に復帰したことが雇用の伸びにつながった。
レジャー・接客業では210万人増。全体の増加数の約5分の2を占めた。
しかし、従業員の職場復帰に伴い、時間当たり平均賃金は前月比1.2%低下。平均週間労働時間も前月の34.7時間から34.5時間に縮小した。
雇用統計を巡っては、コロナ禍で発生した「雇用されているが休職中」の人の扱いが依然かく乱要因となっている。労働省によると、こうした問題がない場合、6月の失業率は12.1%とした。