[9日 ロイター] – 米国では複数の州で新型コロナウイルスの新規感染者や死者が引き続き過去最多を更新しており、景気回復の期待がしぼみつつある。
携帯電話の位置情報から個人の動きを分析するウナキャストのデータによると、5月に経済再開に踏み出したアリゾナ、テキサス、フロリダ、ジョージア、サウスカロライナ各州の小売店への客足は他州よりも落ち込んだ。
8日には全米の新規感染者が6万人を超え、1日として過去最多を更新した。死者は2日連続で900人を上回った。
9日もフロリダ州で新規感染者が約9000人増えたほか、死者数は120人と過去最多となった。人口が多いカリフォルニア州とテキサス州も死者の伸びが最高になったと発表した。
トランプ大統領は感染リスクを重要視しない姿勢だが、感染急増を受け一部の市民は公共の場所に戻ったり、店舗で買い物したりする行動をちゅうちょしている。
カリフォルニア、フロリダ、テキサスの州知事は、大半の企業の閉鎖や住民への自宅待機を指示することを否定したり、最後の手段だとしている。これまでのところ、閉鎖はバー、ビーチ、その他の複数の事業に限定されている。
カリフォルニア州では新型コロナ感染症による入院患者数がここ1カ月で2倍になっている。ロサンゼルス東部のリバーサイド・ユニバーシティー・ヘルス・システムでは44床の集中治療室が満員状態で、増設を進めている。
米労働省がこの日発表した4日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は131万4000件となった。前週の141万3000件からは減少したものの、需要の弱さや新型コロナウイルス感染件数の再拡大で依然として非常に高い水準だった。
一方、6月第3週時点で何らかの失業手当を受けていた人は3290万人と、中旬から141万1000人増加した。
MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「全体の失業者数や受給総数は今回の景気後退(リセッション)局面で依然、最悪の状態が続いている」と述べた。