- ロードアイランドを除く全ての州で新規申請件数が減少
- 失業保険の継続受給者数も減少-4月以来の低水準
先週の米新規失業保険申請件数は市場の予想以上に減少し、新型コロナウイルス感染がパンデミック(世界的大流行)となって以降で最少となった。労働市場が改善しつつあることが示唆された。
キーポイント | |
・新規失業保険申請件数(1日終了週)は、通常の州プログラムの下で前週比24万9000件減の119万件 ・ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では、140万件と見込まれていた ・失業保険の継続受給者数(7月25日終了週)は1610万人と、前週から84万4000人減少 ・市場予想の中央値は1690万人 |
インサイト
- 新規の失業保険申請件数はほぼ2カ月ぶりの大幅減。ここ数週間にわたり高止まりしていた状況を踏まえれば、これは明るい兆候だ。ただ新規の申請件数が週ベースで100万件を超える状況は変わっておらず、労働市場の完全な回復まで道のりはまだ長い
- アメリプライズ・ファイナンシャル(デトロイト)のシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏:
- 「今回の統計は非常に前向きな進展だ。労働市場全体の改善が再び軌道に乗り始めているようだ」
- 今回はデータが改善したものの、事業者の間では給与保証プログラム(PPP)で得た資金が底を突きつつあり、向こう数週間から数カ月に状況が悪化する可能性はある。ある調査によれば、中小企業の2割が、PPP融資を使い果たした後に従業員を解雇する予定、ないし既に解雇したと回答。別の調査によれば、PPP融資で再雇用された従業員の約4人に1人は、雇用主から再度解雇の可能性があると告げられた
詳細
- 調整前ベースでは、全米の新規失業保険申請件数は98万4192件に減少。100万件を下回るのは3月半ば以降初めて。ほぼ変わらずだったロードアイランド州を除き、全ての州で前週比で減少した。
- アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏:
- 「今回の申請件数減少については、前回の増加時と同じくらい懐疑的に見ている」
- 「特に、失業保険給付の週600ドル上乗せ措置の終了が近づいていたことが、何らかの形で影響したのではないだろうか」
- 連邦政府のパンデミック失業支援(PUA)プログラムに基づく新規失業保険申請件数は、1日終了週に65万5707件と、4月以来の低水準
- PUAは自営業者や単発の仕事を請け負うギグワーカーなど、各州が設けている通常の失業保険では対象外の労働者にも適用される
- パンデミックの長期化に伴い、パンデミック緊急失業補償(PEUC)プログラムに申請し始める人が増えつつある
- PEUCは、通常の失業保険給付の期間が終了した人に対し、最長13週にわたり給付を延長する連邦政府のプログラム
- 失業保険の給付期間は大半の州で26週間だが、それを下回る州も複数あり、フロリダとノースカロライナではその半分未満にとどまる
- PEUCの申請件数は、7月18日終了週に110万件余り
- PUAを含む全てのプログラムに基づく継続受給者数は、7月18日終了週に3130万人に増加
- この数字はただ、PUAに基づく継続受給者が実際より多く集計されことを反映している可能性が高い
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Jobless Claims Fall More Than Forecast to Pandemic Low(抜粋)