[ワシントン 2日 ロイター] – 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが2日に発表した8月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数の伸びが42万8000人と、ロイターがまとめたエコノミスト予想の95万人を大きく下回った。 

新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、財政刺激策の効果が薄れる中、労働市場の回復が失速しつつあることが裏付けられた。 

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「コロナ不況で失われた雇用の回復は依然として足取りが弱く、政府が需要を刺激して経済活動や個人消費の伸びを維持するような対策を打ち出さない限り、労働市場の回復は見込めない」と述べた。 

7月分は21万2000人増と、当初の16万7000人増から上方修正されたものの、雇用統計で示された146万2000人増と比較して、なお大きくかけ離れている。これは各統計の手法の違いによるもので、ADP統計は企業の給与計算データに基づき、実際の雇用者を算出しているのに対し、雇用統計は調査対象期間である毎月12日を含む週に何らかの給料を受け取った人を雇用者と見なしている。 

ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、ADP統計と雇用統計の差が8月に縮小するとの見方を示した上で、「労働市場は引き続きコロナ禍の深い穴からはい上がっている状態だが、上りの勢いは減速しており、再び落ち込むリスクが高い」と指摘した。 

ロイターが行ったエコノミスト調査によると、4日に発表される8月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が140万人増、民間部門雇用者数は126万5000人増と予想されている。