【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル西部地検は14日、旧日本軍の慰安婦被害者支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連)」の前理事長で与党「共に民主党」国会議員の尹美香(ユン・ミヒャン)氏を補助金管理に関する法律違反や業務上横領、背任など8件の罪で在宅起訴した。尹氏が一連の容疑で検察の捜査を受けてから約4カ月での起訴となった。
検察によると、尹氏は正義連とその前身の「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」が運営する「戦争と女性の人権博物館」に法律上の博物館登録条件となる学芸員がいなかったにもかかわらず、学芸員が勤務しているかのように虚偽の申請を行い、2013年から20年にかけ、文化体育観光部とソウル市から計約3億ウォン(約2690万円)の補助金を不正に受け取った。
また、挺対協の職員2人と共謀し、14年から20年にかけて女性家族部の「慰安婦被害者治療事業」「慰安婦被害者保護施設運営費支援事業」に人件費の補助金申請を行うなど、計7事業で合計約6500万ウォンを不正受給した。
検察は挺対協の常任理事で正義連の理事を務める人物も在宅起訴した。
2人は管轄官庁に登録せず、15年から19年にかけ団体の口座で計41億ウォンの寄付金を集めたほか、海外戦時性暴力被害者支援のための基金設立、慰安婦被害者の故金福童(キム・ボクドン)さんの葬儀費用の名目で計1億7000万ウォンの寄付金を個人の口座で募り、寄付金品法に違反した罪にも問われた。
検察は尹氏が個人口座を通じて募金を集めたり、挺対協の法人口座から送金を受けたりして流用した金額が11年から20年までで約1億ウォンに達するとしている。
検察はまた、挺対協が被害者の憩いの場を設置するためにソウル郊外の京畿道安城市にある建物を購入する際、尹氏らが相場より高く購入したことで、挺対協に損害を与えたことが業務上背任にあたるとみなした。
また尹氏が管轄官庁に届け出をしないまま、14年から19年にかけて約50回にわたり同施設を市民団体や個人などに貸し、約900万ウォンを宿泊費として受け取っていたことについて、未届けで宿泊施設を運営した(公衆衛生法違反)罪を適用した。
ほかにも尹氏は重度の認知症だった慰安婦被害者の吉元玉(キル・ウォノク)さんが17年に正義連から受け取った女性人権賞の賞金1億ウォンのうち、5000万ウォンを正義連に寄付させるなどの手法で、17年から20年にかけて計約7900万ウォンを不正に受け取ったとして準詐欺罪に問われた。
尹氏や正義連を巡る一連の疑惑は慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんが5月に行った記者会見で被害者のための寄付金が「どこに使われているのか分からない」などと指摘したことを機に各メディアで次々と報じられた。
検察は同月、複数の市民団体が正義連の不正会計や寄付金横領などの疑いで尹氏らを告発したことを受け、捜査を開始した。
尹氏らが起訴されたことについて、正義連の関係者は「起訴事実を検討し、明日(15日)午前に立場を出す予定」と伝えた。